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第三十話 信じられない約束

Author: 煉彩
last update publish date: 2026-07-19 21:42:44

 凜華は身体を動かし、自分の身体に触れている人物から逃れたかった。

 しかし、高熱からか身体が言うことを聞かない。

「どうやって部屋に入ってきたの……?」

 凜華はいつも通り、玄関のカギはかけたと思っていた。

「普通に開いていたよ。電気は点いているのにノックをしても出てこないから、ドアノブを回したら、カギがかかっていなかった」

「今すぐ……。今すぐ出て行って。宗像涼真」

 凜華の元を訪問した相手は、幼馴染で凜華を刑務所へ送った一人でもある宗像涼真だった。

「断る。今のお前の状態は危険だ。俺の病院へ連れて行く」

 涼真は凜華のか細い背中に手を回し、抱え込んだ。

「嫌よ。離して……」

 必死に抵抗を試みようとするも、今の凜華の力では涼真には到底敵わない。

(この人に助けられるくらいなら……。このままの方がまだマシよ)

 真っ赤な頬で、涼真をキッと睨みつける凜華だったが、その威嚇するような態度も今の涼真には効果がない。

「暴れるな。ただ治療をするだけだから。信じてくれ」

 涼真は冷静だ。涼真も医師として幾度となく人の命を救っている。

 今は凜華が相手でも、医師として冷静に対応しているだけ。
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